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札幌地方裁判所岩内支部 昭和48年(ワ)10号 判決

原告

坂根吉太郎

ほか一名

被告

倶知安ニセコ運輸有限会社

ほか一名

主文

一  被告らは各自原告坂根吉太郎に対し、金二四七万〇八三二円および内金二二五万〇八三二円に対する昭和四六年五月五日から、内金一〇万円に対する昭和四八年四月二七日から、各支払ずみにいたるまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは各自原告坂根ツルに対し、金二三八万〇八三二円および内金二一七万〇八三二円に対する昭和四六年五月五日から、内金一〇万円に対する昭和四八年四月二七日から、各支払ずみにいたるまで、年五分の割合による金員を支払え。

三  原告らの被告らに対するその余の請求をすべて棄却する。

四  訴訟費用は五分し、その一を原告らの負担とし、その余を被告らの連帯負担とする。

五  この判決は第一、二項に限り仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求める裁判

(原告ら)

1  被告らは各自原告吉太郎に対し、金二八七万七五七九円および内金二六七万七五七九円に対する昭和四六年五月五日から支払ずみにいたるまで年五分の割合による金員を支払え。

2  被告らは各自原告ツルに対し、金二七七万七五七九円および内金二五七万七五七九円に対する昭和四六年五月五日から支払ずみにいたるまで年五分の割合による金員を支払え。

3  訴訟費用は被告らの連帯負担とする。

4  1、2につき仮執行宣言。

(被告ら)

1  原告らの被告らに対する請求は、いずれもこれを棄却する。

2  訴訟費用は原告らの負担とする。

第二当事者の主張

(原告の請求原因)

1  事故の発生

訴外亡坂根弘(以下弘という。)は、普通乗用自動車(札五ぬ六九〇八号。以下本件乗用車という。)を運転し、昭和四六年五月四日午前三時ころ、虻田郡倶知安町字峠下一七、被告会社前の国道五号線路上(以下本件道路という。)を、共和町小沢方面からニセコ町方面に向つて進行中、右路上に被告山田が駐車しておいた大型貨物自動車(札一い六二八九号。以下本件貨物車という。)に追突し、(以下本件事故という。)、これにより弘は頸椎骨折および頭蓋底骨折により即死した。

2  責任

(一) 被告山田

本件貨物車のごとき進行の障害となる物を車道上に放置しておくことは、道路通行の妨げとなるのみならず、本件のごとき事故を生ぜしめる危険があるから、本件貨物車を駐車場か道路外に駐車させ、もしくは注意標識等を設置して事故の発生を防止すべき注意義務があるのにこれを怠り、本件貨物車を通行帯の約八割を占拠するような形で本件道路に駐車させ、且つ本件貨物車の後部反射器は泥ほこりをかぶつてその機能を発揮できないような状況であつたのになんらの注意標識も設置せず、本件道路に駐車させたものであつて、被告山田には本件事故発生につき過失があるものというべきである。よつて同被告は民法七〇九条により、原告に対し本件事故により生じた後記損害を賠償すべき義務がある。

(二) 被告会社

(1) 被告会社は、貨物運送業を営むものであるが、本件貨物車を所有し、これを被告山田に運転させて、これを自己の営業のため運行の用に供していたのであるから、被告会社は自賠法三条によつて本件事故によつて生じた後記損害を賠償すべき義務がある。

(2) 仮にしからずとしても、被告山田は被告会社の従業員であり、運転手として被告会社の業務を遂行中前記過失によつて本件事故を惹起させたのであるから、被告会社は民法七一五条により本件事故によつて生じた後記損害を賠償すべき義務がある。

3  損害

(1) 葬儀費用 金二〇万円

原告吉太郎は昭和四六年六月五日および六日に倶知安町東林寺で弘の葬儀を行ない、その費用として金二〇万円を支出した。

(2) 逸失利益 金六一一万三一九円

本件事故当時、弘は原告吉太郎の経営する種苗業の中心的働き手であり、少なくとも一般労働者以上の収益はあげていたものである。ところで弘は死亡当時二三才の男子であつたが、昭和四六年版賃金センサスによると二三歳の男子労働者の全国平均賃金月額は金四万八二〇〇円、平均年間賞与その他の特別給与は金一三万三八〇〇円であり、その年間収入額は金七一万二二〇〇円であり、一方弘の生活費は収入の五割を越えないと考えられるから、同人の純収入は金三五万六一〇〇円となる。弘は事故後四〇年は稼働が可能であつたので、同人がその純収益を一時に請求するものとして右収益からライプニツツ式により年五分の中間利息を控除して計算すると、その現価は金六一一万〇三一九円となる。

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(3) 相続

原告吉太郎、同ツルは、それぞれ弘の父、母であるので、弘の死亡によつて、同人の右逸失利益の損害賠償請求権を各二分の一にあたる金三〇五万五一九円(円未満切捨。以下同じ。)宛相続により承継した。

(4) 慰藉料 金四〇〇万円

原告らは、本件事故によつて原告吉太郎の経営していた種苗業の後継者を失ない、老後の生活の保障についての見通しを失ない甚大な精神的苦痛を被つたので被告らはこれを慰藉すべきであり、慰藉料額は原告らに対し各金二〇〇万円宛(合計金四〇〇万円)が相当である。

(5) 弁護士費用

原告らは昭和四八年一月三〇日本件訴訟の遂行を原告ら訴訟代理人広谷、郷路両弁護士に委任し、右両名に対し着手金として各金一〇万円を支払い、成功報酬として各金四〇万円を支払う旨約し、結局各金五〇万円の出捐を余儀なくされている。

(6) よつて原告吉太郎の右(1)(2)(4)(5)の損害の合計は金五七五万五一五九円、原告ツルの(2)(4)(5)の損害の合計は金五五五万五一五九円となるところ、弘においても前方注視を怠つた過失があり、その過失は五割と評価さるべきであり、従つて原告吉太郎は金二八七万七五七九円、原告ツルは金二七七万七五七九円の損害賠償請求権を有する。

4  結論

よつて被告らは各自原告吉太郎に対し右損害賠償金二八七万七五七九円および内弁護士報酬金を除く金二六七万七五七九円に対する本件事故発生の翌日である昭和四六年五月五日から支払ずみにいたるまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金を、原告ツルに対し金二七七万七五七九円および内弁護士報酬金を除いた金二五七万七五七九円に対する前同日から支払ずみにいたるまで前同率による遅延損害金を、それぞれ支払う義務があるから、原告らは右各金員の支払を求める。

(答弁)

1  請求原因1の事実中、原告主張の日時に原告主張の場所で被告山田が駐車していた本件貨物車に、本件乗用車を運転していた弘が追突し、これにより同人が死亡したことは認めるが、その余の事実は否認する。

2  同2の事実中、本件道路上に被告山田が本件貨物車を駐車していたこと、本件貨物車は被告会社の所有であり被告山田は本件事故当時被告会社の従業員で右貨物車の運転手であつたことは認めるが、その余の事実は否認する。

3  同3の事実中 相続の点は認めるが、その余の事実は不知。

(抗弁)

本件貨物車の運行に関し被告らには何らの過失もなく、本件事故は弘の一方的な過失によるものである。すなわち、被告山田は、当日電話ケーブルの埋設工事のために被告会社前の空地に本件貨物車を駐車することができず、やむなく本件道路上に右側の一部がはみ出るような状態で本件貨物車を駐車したものであるが、右駐車にあたつては、同被告は、できる限り左側に寄せて本件貨物車を駐車し、他に本件道路上に、障害物もなく、右駐車後の運行可能な幅員は六メートル以上もあり、且つ、被告山田は右駐車にあたり、法規に基づく注意標識等を施していたものである。更に本件事故現場附近には外燈も点燈されていて明るかつたのみならず、本件事故当時の五月四日午前三時ごろは、既に夜が明けて視界ははつきりとしている時間であるから、弘は前方を注視していれば当然本件事故を避けえたものであつて、本件事故は、弘の酒酔い運転または居眠り運転によるものと考えられ、しかも本件衝突による車両損傷の状況等からすれば、弘は時速一〇〇キロメートル以上の速度をだしていたことも推認しうるのである。したがつて本件事故は、もつぱら弘の過失に基づくものであつて、被告山田には何らの過失もなく、従つて被告らは本件事故につき何ら責任がない。

(抗弁に対する答弁)

抗弁事実は争う。

第三証拠〔略〕

理由

一  事故の発生

(一)  原告主張の日時に原告主張の場所で、被告山田が駐車していた本件貨物車に、本件乗用車を運転していた弘が追突し、これにより同人が死亡したことは当事者間に争いがない。

二  被告山田の責任

(一)  〔証拠略〕によれば、本件事故現場は、共和町小沢方面からニセコ町方面に通ずる舗装された国道五号線上であり、共和町小沢方面からゆるい下り坂になつた直線道路で、その下り坂を下りきつたあたりになると、本件事故現場附近の道路幅員は八・五メートルであつて中央にセンターライン(中央線)が引かれており、また左右の側端(すなわち路外縁石の内のり)から各一メートル内側に入つたところに車道外側線が引かれ、右外側線と道路側端との間は路側帯となつていること、本件貨物車(いすず四四年式TM一五E型大型貨物自動車)は車幅二・四八メートル、車長一一・三八メートル、車高三・四メートル、積載量一一トンであることが認められる。

次に〔証拠略〕を総合すれば、被告山田は、被告会社の従業員で本件貨物車の運転手をしており(右事実は争いがない。)、事故の前日午後五時半ころ本件貨物車を運転して仕事より帰り、本件事故現場の前にある被告会社まで戻つたが、被告会社の駐車場となつている被告会社前の空地(即ち衝突地点のある車線の反対車線に接した場所が被告会社の敷地である。)が、当日電話線ケーブル埋設工事のため右空地に駐車することができなかつたため、被告会社前の国道のニセコ方面に向つて左側に駐車したこと、本件貨物車は左側路側帯と左側車線にまたがつて駐車してあり、中央線から本件貨物車の右側面までの間隔は約一・七メートルあつたこと、被告山田は荷台後部に小さい赤旗をつけただけで、他に尾燈などの燈火をつけるとか標識燈をつけるなどの措置はとらなかつたこと、弘は小沢方面からニセコ方面に向つて本件乗用車を運転して来て、本件事故現場に駐車してあつた本件貨物車の右後部に左前部を激突させ、そのはずみで右乗用車は右斜前方に進み被告会社前の空地において小沢方面に向つて停止したこと、右乗用車のスリツプ痕は全くみられなかつたこと、弘は右乗用車の運転席で頸部骨折および頭蓋底骨折による呼吸循還不全等により即死したこと、

以上の事実が認められ、〔証拠略〕中、右認定に牴触する部分はたやすく措信しがたく、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

(二)  ところで本件道路のように夜間でもある程度の交通量のある道路の車道上にまたがつて自動車を駐車することは、通行の障害となり事故発生の因ともなり易いものであるから、事故発生防止のため極力避けるべきであり、やむをえず駐車する場合にあつては、夜間でも尾燈などの燈火をつけるなり標識燈をつけるなどし、遠方より一見して障害物であることが明確に識別できるようにして事故発生防止に万全の措置を講ずべき注意義務があるのに拘らず、被告山田はこれを怠り、本件貨物車の荷台後部に小さい赤旗をつけただけで(右の措置が夜間においては事故発生防止措置として殆ど意味のないものであることは明らかである。)他に特別の措置をとることなく本件貨物車を国道の車道上にまたがつて駐車したものであつて、これは前記注意義務に違背したもので、被告山田は過失の責を負うべきである。被告らは被告山田が無過失であるとして、るる主張する。しかし被告ら主張のうち本件事故当時既に夜が明けていたとの点については、〔証拠略〕によると、本件事故当日の倶知安地方の日の出時刻は午前四時二八分ころで、本件事故当時の天候は曇であつたことが認められるから、本件事故当時は未だ暗かつたことが推認される(しかも本件事故の正確な時間は、〔証拠略〕により認められる午前二時四八分で弘の腕時計が止つていた事実からすると、右時刻ころであることが推認され、これによればなおさらそうである。)ものであり、また本件事故現場が外燈の光で明るかつたとの点については、〔証拠略〕中には右主張に副う部分が存するが、右部分は〔証拠略〕に照らしたやすく措信しがたく他に右事実を認めるに足りる証拠はなく、却つて〔証拠略〕によれば、同証人が前夜午後一〇時ころ本件事故現場附近を自動車で通過した際には、現場附近は暗く、本件貨物車を自車の前照燈の光でようやく発見しえたものであることが認められる。また本件貨物車の後部に反射器が左右二個ついていることは〔証拠略〕により認められるが、〔証拠略〕を総合すると、右反射器は泥をかぶつて汚れていたことが認められる〔証拠略〕中右認定に反する部分は措信しない。)。また被告らは、弘が事故当時、酒酔い運転や居眠り運転をしていたと主張するが、〔証拠略〕中の右主張に副う供述部分は、単なる推測に基づくものであつてたやすく措信しがたく、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。(もつとも弘に前方不注視の過失のあることは後記のとおりである。)以上要するに本件事故について被告山田が無過失であるとは到底いい難いものである。

三  被告会社の責任

(一)  被告会社が本件貨物車の保有者であり、被告山田に本件貨物車を日常運転させて、これを運行の用に供していたものであることは当事者間に争いがない。

そこで本件事故が本件貨物車の運行によつて生じたものであるか否かについて考えるに、〔証拠略〕によれば、被告山田は本件事故の前日午後五時半ごろチツプを積んで帰つて、翌朝再びチツプを苫小牧市まで運ぶつもりで本件貨物車を本件事故現場に駐車したものであることが認められ、右の事実よりすれば、右駐車も未だ本件貨物車の運行中の一態様とみて差支えないものと解され、従つて本件事故は本件貨物車の運行によつて惹起されたものというべきである。被告の無過失の抗弁の理由がないことは前記二のとおりである。よつて被告会社は自賠法三条により、本件事故による損害を賠償すべきである。

(二)  仮にそうでないとしても、被告山田は被告会社の従業員であり、且つ本件貨物車の運転手をしていたものであつて、(右事実は争いない。)、本件貨物車を前記認定のような事情のもとに本件事故現場に駐車していたものであるから、被告山田が被告会社の業務の執行として右駐車をなしたものであることは明らかであり、被告山田に本件事故についての過失責任があることは前記のとおりであるから、被告会社は民法七一五条により本件事故による損害を賠償すべきである。

四  損害

葬儀費用

原告吉太郎が、弘の葬儀を倶知安町東林寺で行なつたこと、右葬儀の費用として金二〇万円を要したことは、いずれも〔証拠略〕により認められ、右は本件事故と相当因果関係ある損害と認められる。

(二) 逸失利益

〔証拠略〕によると、弘は高校卒業後一時他に就職したが、本件事故の五年位前からは父である原告吉太郎の家業である種苗業を手伝い、本件事故直前の昭和四六年五月からは病にたおれた原告吉太郎に代つて弘が種苗業の経営をするようになつていたこと、右種苗業の手伝いをしていた当時は、弘の生活費は一切原告吉太郎が支出するほか、弘は原告吉太郎から一カ月金三万円ないし金三万五〇〇〇円の小遺銭を与えられていたこと、原告吉太郎の経営当時の年収は少なくとも金三五〇万円程度はあつたことが認められる。右事実によれば、弘の本件事故当時の収入は必ずしも明らかではないが、少くとも一般労働者の平均賃金程度の収入はあげていたものとみるのが相当である。

ところで弘が本件事故当時二三才の健康な男子であつたことは〔証拠略〕により明らかであるから、弘は本件事故がなければなお四九年余生存することができ(簡易生命表による。)その間の四〇年は就労が可能であるとみるのが相当である。そして労働者の賃金構造基本統計調査(昭和四六年度)によれば、二三才の男子の全労働者の全国平均給与月額は金五万四七〇〇円であり、平均年間賞与その他の特別給与額は金一四万二五〇〇円であることが認められ、従つてその年間収入は金七九万八九〇〇円となるところ、その生活費は収入の二分の一程度とみるのが相当であるから、これを控除した同人の純年収は金三九万九四五〇円である。そこで右純年収により四〇年間の逸失利益をライプニツツ式により、年五分の中間利息を控除して計算すれば、その現価は金六八五万四一六二円となる。

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(三) 過失相殺

前記認定どおり本件乗用車の制動痕が全くみられず弘が事故当時制動措置をとつた形跡がないことその他前記認定の本件事故の態様からすれば、弘にも前方不注視等の過失のあることは十分推認され、しかも前記のとおり本件道路は車道幅員のみでも六・五メートルあり、本件貨物車の右側の通行可能な車道幅員は五メートル近くもあつたことからすれば、右弘の過失は大きいものと考えられ、右弘の過失割合は六割とするのが相当である。

よつて(一)(二)の損害につき過失相殺をすれば、(一)は金八万円、(二)は金二、七四一、六六四円となることは計数上明らかである。

(四) 相続

原告らが弘の両親であり弘の死亡により各二分の一の相続分により弘の権利義務を相続したことは当事者間に争いがないから、原告らは、前記逸失利益の損害賠償請求権の各二分の一にあたる各金一三七万〇八三二円を相続により取得したことは計数上明らかである。

(五) 慰藉料

弘の両親である原告らが弘の死亡により甚大なる苦痛を被つたことは十分推測することができ、前記認定の弘の年令、家庭内の地位等に弘の過失の程度、その他諸般の事情を考慮すれば、原告らの慰藉料額は各金八〇万円をもつて相当と認める。

(六) 弁護士費用

原告らが広谷、郷路両弁護士に本件を委任し、両弁護士に着手金として各金一〇万円を支払い、他に各金四〇万円の成功報酬を支払うことを約したことは〔証拠略〕により認められるところ、本件における事件の難易、請求額、認容額、その他諸般の事情を総合すると、原告らの要する弁護士費用のうち原告吉太郎につき金二二万円、原告ツルにつき金二一万円をもつて本件事故と相当因果関係ある損害と認める。

五  結論

以上によれば、被告らは連帯して、原告吉太郎に対し金二四七万〇八三二円(葬儀費用、逸失利益、慰藉料、弁護士費用)および内弁護士費用を除く金二二五万〇八三二円に対する本件事故の翌日である昭和四六年五月五日から、内弁護士費用中の着手金相当部分金一〇万円に対する本訴提起日である昭和四八年四月二七日から(原告らにより、本訴提起日までに右着手金が支払われまたは支払約束がなされたことは〔証拠略〕により明らかである。)、各支払ずみにいたるまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金を、原告ツルに対し金二三八万〇八三二円(逸失利益、慰藉料、弁護士費用)および内弁護士費用を除く金二一七万〇八三二円に対する前記昭和四六年五月五日から、内弁護士費用中の着手金相当部分金一〇万円に対する前記昭和四八年四月二七日から、各支払ずみにいたるまで民事法定利率年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があるから、原告らの本訴請求は右の限度で理由があるのでこれを認容し、その余は失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、九三条を、仮執行の宣言につき同法一九六条を、それぞれ適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 岡崎彰夫)

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